要件定義書に盛り込むべき最低項目
要件定義書は、先のヒアリングを元にして、サイトを構築していくための取り決め内容を具体的に書式化します。制作途中で方向性がぶれないための指針となるだけでなく、制作後のさらなるブラッシュアップのための叩き台、あるいは制作後の様々なトラブルを回避するための資料にも活用できます。
クライアントとのミーティングを重ねる中で、要件定義書策定課程の具体的なポイントとなるのは以下の点です。
- 何を誰にどう伝えるか
- 打ち合せを重ねながら、Webサイトの目的とゴールを明確化
- サイトコンセプトの策定
- コンテンツ概要プランの策定
- サイト構成概要プラン(ワイヤーフレーム)の策定
- レビューコンテ(デザインカンプ)の制作
このポイントを踏まえ、以下の内容を盛り込みます。
- サイトの目的とゴール(目標)・・・具体的数値目標も設定
- このサイトで何をしたいのか、たとえば自社を広く知らしめたい、自社が扱う商品を売りたいなどがサイトの「目的」です。これに対し、自社を知ってもらうために月間1万人にサイトを訪問してもらう、自社の商品に対して1日に10件の問い合わせをしてもらう、これがサイトの「ゴール(目標)」です。具体的な数値目標を設定しないとサイトの効果を図ることができませんし、そのサイトが目的に合致しているのかもわかりません。
- 事前調査(市場調査、競合調査、自社分析などいわゆるマーケティング)
- 小規模な案件・プロジェクトあるいは潤沢な予算が設定できないケース、あるいは時間の制約があるケースなどでは十分な市場調査はできませんが、あらためてマーケティングを行なわなくても企業においては営業ノウハウの蓄積は行なわれています。その聞き取りを行なうだけでも、ある程度サイト制作に必要なマーケティングは可能ではないでしょうか。
- サイト要件(ページ構成要件、デザイン要件、コンテンツ要件、機能要件、インフラ要件など)
- 文字通りサイト制作に直接関わる取り決めの部分となります。この項目を明確にしておかないと、追加要件などが発生し、納期や予算にも大きく影響します。場合によってはプロジェクトそのものが頓挫・炎上する要因になります。
- ターゲットユーザー像
- ターゲットとは「サービスを利用するであろうユーザー」を指します。年齢・性別・職業などのスペックでユーザーをグループ化し、見込み顧客を絞り込みます。ここで欲張って、ユーザー像の範囲を広げてしまうとコンセプトがぼやけてしまいます。
現代では、ユーザーのニーズが多様化し、スペックによるグループ分けではユーザーの行動を想定するのは難しくなってきました。このため、ターゲットというよりはユーザーモデルの設定、いわゆるペルソナ設定が必要となります。ユーザーが目的を達成するためには「より優れた体験とその記憶(ベネフィット)」が重要であるといわれています。具体的なユーザー像を設定することは、CJM(カスタマージャーニーマップ)で顧客視点に立ちユーザーの行動・ふるまいを推測し「より優れた体験とその記憶」を具現化するためのサイトの方向性を決める上で、極めて重要となります。(LIG:「ペルソナとターゲットの違いを教えます!ペルソナの設定方法とは」参照)
- ターゲットブラウザ
- どうしてもクライアントの環境に合わせてターゲットブラウザを設定しがちですが、本来サイトを閲覧するのはエンドユーザーです。前出のターゲットユーザー像も踏まえ、ブラウザの設定を行なう必要があります。
また、次項にも関わることですが、モバイル環境に考慮することが重要になっています。サイトの目的にもよりますが、ターゲットユーザーによってはモバイル機器に特化したサイト(モバイルファースト)を制作する必要があることも念頭におきましょう。
- ユーザビリティ/アクセシビリティ指針
- サイトのデザイン面で最も重要なのが「ユーザビリティ/アクセシビリティ」といっても過言ではありません。具体的なユーザビリティやアクセシビリティの指針を示すことで、前述の「サイトの目的と目標」をデザイン面から明確化できます。ヴィジュアルデザインを重視することは制作時のモチベーションを上げる上では重要ですが、あくまでエンドユーザー目線に立った効果的なサイト制作をアピールするためにも、この項目は重要となります。また、近年は「ユーザビリティ」を十分に考慮したサイトが高評価(好結果)を得られるようです。
では、「ユーザビリティ/アクセシビリティ」とは何でしょう。一言で表現すれば「利用者の環境や能力に依存しないこと」になります。モバイル対応もユーザビリティに考慮した結果であるといえます。
- プロジェクトスケジュールとロードマップ
- 稀に明確な納期を定めないプロジェクトも存在しますが、一般的には企業いあるいは商品・サービスのプロモーションの一部であるサイトの制作には納期が存在し、スケジュールを明記しなければなりません。ロードマップとは、スケジュールを管理するために、各行程の内容や期間・作業分担・責任分担などを時間的推移を加味し具体的に明記したもので、行程表(工程表ではない)と呼ばれます。手法としてはWBS(Work Breakdown Structure)が用いられます。(厳密にはWBSはタスク管理のツールであり、WBSに詳細な時間を付与したものを利用する)
- プロジェクトにおける作業分担と体制
- ここで提起する作業分担とは、制作時の作業分担ではなく、制作会社とクライアントとの分担を指します。プロジェクトの目的達成サイトを制作するために、企画段階からかかわる案件が増加しており、たとえばマーケティングに関わる作業はクライアント・制作会社のどちらが担当するかなどの作業分担を明確化する必要があります。
また、企画と制作のスムーズで効率的な連携のために、クライアントとの折衝と制作側の統括・管理を専門に行なうWebプロデューサー職を置く制作会社も増えており、案件における双方の体制を明確にしておく必要もあります。
- 運用開始後の体制
- サイト公開後、たとえばSNSへの展開やGoogle AdWordsなどのインターネット広告の利用といったサイト自体のプリモーションや、効果測定後の対応などをクライアント側・制作側どちらが対応するかの取り決めが必要です。
また、クライアント側のリテラシーによっては、メールフォームによる問い合わせなどへの対応やメールマガジンの配信といった営業分野のサポートも必要になるかもしれません。インストラクションも含めた契約が必要になる場合もあります。
- 継続検討課題の整理
- サイト要件で取り上げたが、納期や予算といった要因で今回は検討できないもの、あるいは、十分に検討するにはある程度の運用期間が必要なものなど、制作後の運用期間中に継続的に検討する必要のある要件を整理しておきます。今回の制作で解決できない部分を明確にしておくことで、制作後の継続的な契約につなげることができます。